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GoTo停止だけでは感染抑止に不十分だ

菅総理は昨日、GoToトラベルについて、今月28日から来月11日まで全国的に一時停止することを発表しました。先週金曜日までは停止を考えていないと述べていましたが、週末に行われた世論調査で支持率が激減したことから、急遽方針転換をしたようです。

安倍―菅政権は、当初GoToトラベル事業は感染が収束してから開始するとしていたものを、第2波において感染が拡大している最中に強引に開始しました。第2波はウイルスの感染力が低下していたと思われる夏期に発生したため無策でも乗り切れましたが、第3波に関しても何とか収まってくれるだろう思っていた政権の希望的観測は今回、完全に打ち砕かれました。

感染拡大期に火に油を注ぐような政策をやるのは愚の骨頂で、遅きに失した感はありますが全国一律停止が打ち出されたこと自体は一応評価できます。しかし、東京・名古屋が先行して停止するものの全国的な停止が28日でははやり遅く、感染を抑える観点からはクリスマス前に前倒しさせるよう最大限努力すべきでしょう。また、赤羽国交大臣はGoToトラベル一時停止に関して予約がキャンセルされた事業者に対する補償を旅行代金の50%とする方針を打ち出しましたが、それは、政府の失敗で生じた損害を我々が税金で負担することに他なりません。改めて、菅首相には責任を取って出来るだけ早期に退陣してほしい所存です。

しかしながら、コロナは政権が変わるのを待ってくれるわけではないので、来年の通常国会が始まる前に菅政権は感染抑止策を徹底して行うべきだと強く主張せざるをえません。端的に言えば、今週中の新規感染者数と重傷者数の推移を見て、今後下がる見込みがなさそうだったら(ほぼそうなりそうですが)、来週にも緊急事態宣言を出して来月11日あたりまで継続させるべきです。クリスマスと新年に人の移動を徹底的に抑制させる必要があります。第1波の時とは違い企業活動は自粛する必要はないかもしれませんが、飲食業やクラスターが多発している学校などは休んでもらうべきです。来月上旬の通常国会開会前までに、罰則と補償を伴ったコロナ特措法の改正案の提出を準備する他、客観的基準を立てた上での飲食店等の感染予防対策義務化やマスク着用義務化に向けた法律整備の準備を行うべきです。

政権、そして財務省は義務化の導入に伴う補償の導入など、事業者への財政援助拡大につながる経済規制の強化を渋っている結果、多くの飲食店が営業せざる負えない状況にあります。しかし、そのせいで感染が収まらずに飲食店や観光地に客足も戻らず徐々に倒産が増えていくのであれば、そのような政策判断は合理的ではありません。早く経済を元に戻したいのならばまずは感染を抑え込むことが必要で、少なくとも休業・時短に協力してくれる事業者への財政支援を惜しむべきではありません。その方が、結果としてトータルの財政支出が少なくなりうることを考えるべきです。


鈴木 しんじ

博士(理学)

日本型大統領制を実現するリベラル新党、
政治団体「社会民主進歩党」代表

党公式サイト
https://sdpp.jp/
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プロフィール

鈴木しんじ

Author:鈴木しんじ
政治団体「社会民主進歩党」代表

慶應義塾大学SFC研究所上席所員。武蔵野大学政治経済研究所客員研究員。
学問の専門は政治経済学、公共経済学。

東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒、慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学、東京工業大学大学院社会理工学研究科博士課程修了。

東京工業大学博士(理学)

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