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GoToは東京だけやめても感染抑止にならない

新規感染の8割以上を占める東京圏と大阪圏


政府の「GoToキャンペーン事業」の対象地域から東京都が急遽除外された。GoToキャンペーンへの非難が高まったため安倍政権は方針変更を余儀なくされたのだが、事業の進行に固執するあまり「東京都」だけを除外するという不可解な決定を行ったのである。


都道府県別では東京都の感染者数がダントツ(昨日は286名・今日は293名)に多く感染の広がりを見せているが、経済的に一体化している神奈川・埼玉・千葉の各県においても感染者が増えており、昨日は合計で129名の新規感染が確認された。この4都県だけで3700万の人口がいるが、東京都だけを除外しても感染抑止効果が限定的なのは容易に想像できる。さらに大阪府でも昨日、緊急事態宣言後最多の66人の新規感染者数を記録したが、大阪府と経済的につながっている兵庫・京都・奈良の各府県を合わせた4府県の人口は1800万人になり、昨日は合計で103名の新規感染が確認された。東京圏・大阪圏の8都府県における昨日の新規感染者数は合計518名で、全国の623名のうち8割以上を占める。逆に言えば東京都の件数は全国の新規感染総数の半分以下でしかない。東京圏・大阪圏全体を対象除外にしなければ感染抑止は期待できないだろう。

 

そもそも、感染が拡大しているのに何故事業を前倒しするなどという馬鹿な決定を行ったのだろうか?全国旅行業協会会長の二階俊博自民党幹事長を含め、党内外から旅行業が持たないので助けてほしいという声が強かったのであろう。そもそもこのような団体の会長を現職の政治家でしかも政権与党のナンバー2である幹事長が務めること自体異常である。

 

人は価格だけでは旅行に行かない


私は個人的には海外旅行も含め旅行は大好きだが、旅行先で感染したり逆にこちらが他の地域にウイルスを広げたりする危険性を考えると、今は旅行費用を全額負担してもらっても全く行く気になれない。経済評論家の中には、旅行産業は価格弾力性が強いので政府が代金を援助すれば需要は作れる、秋以降になると景気の落ち込みが激しくなり多くの人がさらに所得減になるのと本格的な第二派がやってくるのでキャンペーンをやるのは今しかないなど妙なことをいう人がいる。しかし、人は価格だけではなく現時点で旅行に行くことによる様々なリスクとその可能性を考慮して旅行へ行くか行かないかを判断するのである。行かない場合の期待効用が行った場合の期待効用を下回れば行かないのである。50年前以上前のミクロ経済学における非常に単純な想定で話をするのはやめた方がよい。また、感染の広がりについては、検査数が拡大したから陽性者が増えたので感染自体はあまり広がっていないという方便が良く聞かれるが、陽性率が上がってきているのだから感染が広がっていると考えるのはごく自然である。

 

今はキャンペーンをやるべきではない

 

昨日の投稿でも述べたが、今無理やり旅行需要を喚起しても思ったほどの効果は得られないし、感染した人間が他地域に移動すればその地域での感染を広める可能性が高い。さらに旅行者が皆、夜、ホテルや旅館でおとなしく過ごすはずもない(出かける可能性が高いはず)。東京圏と大阪圏で5500万以上の人口がおり東京都を除いても4000万の人口がいるんだからGoToキャンペーンをやれば地方へ感染を広げることは目に見えている。最低でも両大都市圏だけでも延期すべきだが、他の地方間だけだと意味があるのかという疑問と、新型コロナウイルスが極めて伝染力が強いことを考えると移動の推奨が感染の拡大を招かない保証はないということから、私はキャンペーン開始は全国的に最低一か月は延期し、東京圏・大阪圏への適用は感染が収まってからにすべきだと考える。急いては事を仕損じる。

 

観光業や飲食業など打撃を受けている産業に関しては、事業の一時休業や従業員の一時帰休に関する制度を改良して、従業員(経営者も)がコロナ禍終息まで一時的に他の産業で就労できる環境を整えるべきだ。私は観光産業自体を否定する気は全くなくむしろ観光産業推進の立場だが、産業自体にリスクがあり当面回復が見込めない以上、政府のやるべきことは一時的に観光業や飲食業の従事者に他産業に移動してもらうことである。

 

野党は緊急事態宣言発出を首相に要請せよ

 

GoToがあまりにもひどすぎるので、東京都の本日の新規感染者数293人があまり目立たなくなっているが決して放置されてはならない。東京・新宿では百貨店の従業員への感染が相次いで報告されているが、これは歌舞伎町から周辺へ広がっていることの現れである。政府は東京圏・大阪圏の都府県に対して緊急事態宣言を発し、感染の温床となっている業種へ至急実行力がある休業要請を行うべきで、飲食店の営業時間規制や感染防止対策の監視も行われるべきだ。また、緊急事態宣言解除後に多くの企業でテレワークが打ち切られたり日数が減らされていたりするが、政府は企業に対してテレワークの推奨を強く呼びかけるべきだ。東京都に関しては、「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ」におけるステップが3のままになっているがスッテプ2に戻されるべきである(休業要請対象については変更があることを認める)。

 

安倍政権と小池都知事に対して迅速な行動を期待するのは無理なので、我々は引き続き声を上げていかなければならない。特に野党は、①GoToキャンペーン自体の延期、②東京圏・大阪圏への緊急事態宣言の発出、③問題となっている業種への休業要請、③東京都のステップ2への復帰、④企業に対するテレワーク推進要請の実行を安倍首相と小池都知事に強く要請すべきだ。野党が頑張って行動しないと本当に大変なことになる。

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プロフィール

鈴木しんじ

Author:鈴木しんじ
1972年生まれ。

東京都中野区出身。

東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒、慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学、東京工業大学大学院社会理工学研究科博士課程修了。

東京工業大学博士(理学)

千葉県議会議員、国会議員公設秘書を経験。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。武蔵野大学政治経済研究所客員研究員。専門は政治経済学、公共経済学。

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