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補償拒否は経済に逆効果、封鎖を想定しないのは思考停止

ようやく緊急事態宣言が発出された。少なくとも一週間前には出されるべきものだったし、遅すぎたとしか言えないがとりあえず出されたのは良かった。しかし、これでも感染が拡大している諸外国に比べれば非常に緩い規制で、私にはこれだけで感染拡大を防げるとは思えない。

今回の緊急事態宣言では、多くの事業者に対してはあくまで「要請」を求めるだけであり、営業停止が強制されるわけではない。一方で今回発表された政府の経済対策を見ると、従業員たる多くの国民は、収入が減ったことを自ら立証しなければ給付金をもらえない。①営業自粛は「命令」でなく「要請」である、②テレワークに対応できる事業者の割合が非常に低い、③休業した場合に事業者やその従業員が政府から受けられる経済的支援の額がフランスやイギリスなどと比べると少ないことから 多くの事業者にとっては「要請」に従って営業を停止するのが不利な仕組みになっている。飲食店などは、イメージの悪化等から営業を停止せざるを得なくなるだろうが、その他の事業者に関しては営業を停止したくても停止できないのが多数となるだろう。結局、多くのサラリーマンが出勤を続けざるを得ないだろう。

安倍首相はロックダウン(都市封鎖)の可能性やコロナ特措法の再改正などさらなる法整備を否定して、「要請」と少ない経済的支援でこの試練を乗り越えたいようだ。しかしながら、罰則着きの「強制」を行わずに従えば野垂れ死にするような「要請」を行うだけでは、従いたくても従えない事業者が続出する危険性がある。政府が借金を気にせずにフランスやイギリス並みの経済的支援を行わなければ、事業者は営業を継続して従業員の通勤をやめさせられないので、感染は拡大していくと考えるのが自然である。ところが、感染爆発が起きた結果、事業者が活動できなくなり倒産(破産)したら、政府はより多額の失業手当を払わなければならないのである。経済的支援を渋ることが感染の拡大と企業活動の低迷をもたらし、逆に税収減と政府支出増につながるのではないか。

私は、まず、テレワークに移行することが困難かつ生活を維持するのに必要不可欠でない分野の事業者(個人も含む)に対しては、従業員に対して最低7割以上の給与補償を政府が行うことなどにより営業を停止してもらうことが必要だと考える。それによって人の移動を最少化させて感染拡大を抑え込めれば理想だが、目的が達成できないならば強制的なロックダウンが必要だと考える。今は、法律の範囲内であれば人の移動を抑えるのに手段を選ぶべきでない。

安倍首相や政権幹部の答弁を見ると、ロックダウンの可能性を口にすることでパニックが起きることを非常に心配しているようだったが、それは思考停止だ。どの国もロックダウンしたくてやっているわけではなく、そうしないと感染拡大を抑えられないからやっているのである。感染爆発が起きた場合、ロックダウンしないで乗り切れるのだろうか?仮にイタリアやスペインのようになってしまったら、国会を開いてさらなる法整備を行うことは不可能だろう。ボリス・ジョンソン英首相までもがICUで酸素吸入を受けている事実を直視すべきだ。現行法制のままでは、仮に東京がニューヨークのような状況になっても政府が人々の行動を完全にコントロールできないので、とんでもないことになるだろう。首相はロックダウンの可能性を否定するのではなく、「できるだけ行わないように最大限努力するが、最悪のケースを想定し法制化の準備だけは進めておく」と答弁すべきだ。

今日の安倍首相の衆参議院運営員会での答弁を見ると、もう頭がいっぱいで、今後どのようなことが起こりうるのか・それについてどう対応するのか考えられなくなっているように思えた。共産党の小池晃議員からの質問の後は相当参っている様子だった。どうすればどれくらいの早さで国内のコロナウイルス感染を終息させられるのかについて、首相には明確なアイディアが無いのだろう。だから、いつも後手になり、有効性がなさそうな政策を場当たり的に打ち出すのだろう。このような首相にはすぐに辞任してほしいがそうもいかないし、周りをイエスマンばかりで固めているので周囲が機敏な行動をとることも期待できないだろう。だから、我々国民や野党は、どの順番で何をやるのかも含めて政策要望をより明具体化して提示し、首相に対して圧力をかけていかなければならない。なにせ、強制力が弱い緊急事態宣言を出すのにこれだけ時間がかかったのだから。
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プロフィール

鈴木しんじ

Author:鈴木しんじ
1972年生まれ。

東京都中野区出身。

東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒、慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学、東京工業大学大学院社会理工学研究科博士課程修了。

東京工業大学博士(理学)

千葉県議会議員、国会議員公設秘書を経験。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。武蔵野大学政治経済研究所客員研究員。専門は政治経済学、公共経済学。

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