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時代錯誤が甚だしい新幹線の大型荷物事前予約制 ~やるべきことをはき違えているJR(東海)。最後部座席を撤去して荷物置場を設置せよ~

東海、西日本、九州のJR三社は829日、新幹線に持ち込む大型荷物を事前予約制にすると発表した。スーツケースなどの大きな荷物が対象で、当面は最後部座席の後方のスペースを専用置場にする。最後部座席の指定席とセットでの予約が必要で、事前予約をしないで利用した場合に1000円が徴収されるという。設置の理由としては、来年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、外国人観光客を中心に大型荷物持ち込みがさらに増えることが予想されるためとのことである。なお、荷物置場に関しては20205月中旬から導入する上記の客室内最後部座席後方の「荷物スペース」と、2023年度から導入する車内デッキ部の洗面所1か所を荷物置き場に整備して新設する「荷物コーナー」 の合計2か所が設けられる予定だ。

 

「大型荷物を持ち込めるのは最後部座席を予約する利用客のみ」というトンデモな方針


今回のJR三社の方針に関してはYahooなどのネットアンケートでは賛成の意見が反対を大きく上回っているようだが、私は、これはとんでもない時代錯誤な方針であり強く反対する。そもそも外国人観光客にとっては、東京から新幹線を使って京都・大阪へ移動するのはゴールデンルートと呼ばれ、一般的な観光ルートである。それゆえ、特に日本からの距離が遠い欧米人観光客にとっては大きなスーツケースを新幹線に持ち込むことはごく自然な行為だ。また外国人に限らず、幼児と旅行する親がベビーカーを新幹線に持ち込むのも自然な行為である。しかしながら、今回の方針は最後部の座席を利用する乗客しか大きな荷物を持ち込むなと言っているようなものであり、これまで荷物棚にも大きな荷物が置かれていたことを考えれば、実際のニーズと大きく乖離するものだ。さらに、上記のように今後洗面所1か所を荷物置き場に変更してもそれほど荷物スペースを拡充できるわけではなく、導入自体も2023年度と非常に遅い。JR三社に全くやる気が感じられない。

 

他国では当たり前の無料荷物置場


新幹線に専用の荷物置き場を設けるべきとの指摘は以前からなされており、すでにJR東日本管内の新幹線においては一部の座席を除去して専用の荷物スペースを荷物置き場が設置されている。東海、西日本、九州も同様の措置を取ればよいだけの話である。しかしながら、特にJR東海などは地域独占企業として新幹線から莫大な利益を得ながらも少しでも座席を削減することには非常に後ろ向きであり、これまで指摘されてきても無視してきたうえに今回も座席を削減する形での荷物置場設置を拒否している。他方、TGVICEを見るまでもなく西欧諸国では特急列車に専用の無料荷物置場(当然予約不要)が設置されているのが普通であり、韓国のKTXでも同様に専用の無料荷物置場が設置されている。こうした現状を考えるとJR三社の方針は時代錯誤も甚だしい。こんなことがまかり通るならば日本人として恥ずかしい限りである。

 

JRには期待できず。政府が指導すべき


JR三社がやるべきことは予約制度などではなく、各車両の最後列の座席を撤去して無料の荷物置場を設置することだ。安倍政権は訪日外国人観光客を増加させることに熱心だが、なぜ地域独占企業の利用者無視の悪態を放置するのか理解に苦しむ。独占企業は消費者の利益を無視した行動をとりがちになるが、それを是正するのが政府の役割だ。独占企業体質にどっぷりつかったJR東海が立場の弱い外国人観光客からの指摘を受けて積極的に行動するとは思えない。政府は、これまで車いす対応トイレや多目的室の設置を促してきたのならば、荷物置場設置の徹底化をJR三社に指導すべきである。

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「ホワイト国」除外政令は事態を泥沼化させるだけだ

日本政府は82日、韓国を輸出管理の優遇措置を受けられる「ホワイト国」から正式に除外する政令改正を閣議決定で行った。これに対しては予想通り韓国では激しい反発が起きており、文在寅大統領は「日本経済が私たちより優位にあるのは経済規模と内需市場で、南北間の経済協力で平和経済が実現されるなら、私たちは一気に(日本に)追いつくことができる」とまで述べ、日本との関係よりも北朝鮮との関係を重視する姿勢を鮮明にした。文大統領の北朝鮮に対するあまりにもナイーブな「同胞愛」は韓国国内でも失笑を買ったが、同時に北朝鮮からは日本海への短距離ミサイル発射という形で無視されてしまった(既に指摘されていることだが文大統領のナイーブさは鳩山元首相に通じるところがあると思う。そうしたナイーブさは理想の明確化には重要であり、私はそれ自身を否定するつもりはない。ただし、最高権力者としての意思決定はナイーブさと切り離されて行われなければならいことは言うまでもない)。

 

さて、今回のホワイト国除外は、表向きは輸出管理の見直しと言っているが、実態は徴用工問題に対する韓国政府の対応への報復である。徴用工問題に対して文在寅政権がまともに対応せず、さらに慰安婦合意の一方的な放棄もその責任を日本側に転化したことは、日本側にとって到底容認できる話ではない。個人的には、文政権がこれらの問題に誠実に対応する気になるまでは、文政権とは必要以上の交渉はすべきではないと考えている。

 

しかしながら、私の今回の日本政府の政令改正には反対である。徴用工問題に関する報復措置であるのならば報復と明言すれば良いのに、その点を曖昧にして直接関係がない輸出管理面体制に対して韓国だけ見直しを行うというのは筋が通った話ではない(仮にこれまで水面下で文政権に対してホワイト国除外を暗示していたとしてもだ)。いくら相手方に非があろうとも、直接関係がないことに関して相手の問題を指摘し制裁を行うことは、相手からすると理不尽に感じるものである。輸出管理面体制を見直すというのならば、明確な基準の下に他国も含めて見直し作業を行い、韓国がその基準に達しないので除外するのならば理解できる。おそらくそうしないで韓国だけを狙い撃ちにしたのであろう(現在経産省に確認中だがまだ回答を得られず)。しかしながら、反発を避けるためか輸出管理優遇措置対象国への呼称を「ホワイト国」から「グループA」該当国と変更したのは、場当たり的な印象を受ける。安倍政権はこれまで文政権の対応を批判してきたが、論理的に首尾一貫していないという面で文政権と同じレベルに落ちたと思う。

 

ホワイト国待遇を単なる一時的な運用上だけでなく政令で見直すということは、いわば本気でケンカを売ることである。韓国の世論が熱狂的になりやすいことを考えれば、今回の政令改正が単なる貿易上の技術的な問題にとどまることなく、韓国全体の反発を引き起こして日韓関係がさらに悪化することは十分考えられたはずである。それを考えれば、安倍政権は文政権を無視しているのではなく文政権を挑発していると言ってよいだろう。

 

日本国内では、自称保守派の右翼連中がインターネットを含むメディア上で盛んに韓国との対立を煽る言動を繰り返している。参議院選挙が終わったのにも関わらず、安倍政権がこうした右派層を重視した行動をとるのは、選挙の前にいわゆる「アベ友」や「産経文化人」に対して支持依頼と共にこうした行動をとることを約束したか、秋以降の早い時期に衆議院を解散したいからかよくわからない。韓国と国交断絶を叫ぶような自称保守派の右翼連中は日韓関係の悪化に驚喜しているが、一般人はそうではない。今後は半導体業界関係だけではなく韓国を含む諸外国からのインバウンドに支えられてきた地域経済にもかなりの影響が出てくるだろう。自称保守派の右翼連中には他国から来てもらえばよいと主張している者もいるが、韓国からの旅行者数は上位2位以内をキープしており、韓国人観光客の埋め合わせをするのは容易であるわけがない。安倍政権は2020年に4000万人の訪日旅行者数実現を目標としているが、今年に入ってから訪日外国人力者数の伸びは鈍化しており、早々と目標を放棄してしまったようである。

 

安倍政権は、民主化以降の韓国の歴代政権(金大中政権を除く)みたいなやり方で反韓を煽り、それを政治利用することはやめるべきだ。

 

プロフィール

鈴木しんじ

Author:鈴木しんじ
1972年生まれ。

東京都中野区出身。

東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒、慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学、東京工業大学大学院社会理工学研究科博士課程修了。

東京工業大学博士(理学)

千葉県議会議員、国会議員公設秘書を経験。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。武蔵野大学政治経済研究所客員研究員。専門は政治経済学、公共経済学。

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