FC2ブログ

関西国際空港と神戸空港の今後を考える

台風21号と北海道胆振東部地震は日本列島の広範囲に深刻な被害をもたらした。ただでさえ近年頻発している大規模自然災害の発生件数が今年は特に多く、今後が心配である。亡くなられた方のご冥福を祈ると共に、被災地の一刻も早い復興を成し遂げ、災害に負けない国づくりを進めるしかない。

一方でこの状況において、北海道で発生した停電については泊原発が動いていたら起きなかったとか、泊原発を早く稼働すべきだと言っている人たちがいるが本当に呆れる。そもそも、泊原発が稼働していないのは北海道電力が原子力規制委員会の求める水準を満たせないからである。泊原発は北海道南西部で日本海に面する泊村に存在するが、同地域の日本海沖では、過去大規模な地震が何回か起きている。彼らは、日本海沖で大規模な地震が再び起きても同じことを言うのだろうか。


関空被害は、関西経済に深刻な打撃を与える

さて話は大きく変わるが、ここからは一連の中で最も深刻な経済的被害が発生した関西国際空港(以下関空)の復旧のあり方について述べると共に、関空の補完空港の一つである神戸空港の役割について考察したい。

世界初の完全海上空港である関空は、二つの島と本土をつなぐ連絡橋から成り立ち、第1期島にはA滑走路とメインターミナルである第1ターミナルビル、そしてJR及び南海の鉄道駅が存在し、第2期島にはB滑走路とLCCが中心の第2ターミナルビルが存在している。しかし今回の台風で1期島のほぼ全域が冠水したほか、沖に停泊中のタンカーが流されて連絡橋に衝突し3車線道路の下り線が橋桁ごと大規模にずれ、JR及び南海線の線路も支障した。10日現在の復旧状況として、ほとんど被害がなかった第2期島のB滑走路と第2ターミナルを利用して一部の国内線・国際線が再開され、14日からは第1ターミナルの南側から暫定運用を始めるそうで、空港へのアクセスの主力である鉄道の再開は10月上旬が見込まれている。

しかしながら、インバウンド需要に沸いていた関西経済への影響は深刻になりつつある。特に、大阪のミナミ周辺では既にその影響がはっきりと表れているようだ。仮に完全復旧に1年以上かかることになったら、関西経済への打撃は決定的なものになろう。阪神大震災後、神戸港は復興予算が不十分だったこともあり国際的地位が大幅に低下したが、関空がその二の舞になること絶対に避けなければならない。そのため、関西経済への打撃を最小限に食い止めるべく全面的な運航再開までの暫定措置として1日あたり伊丹空港に40便、神戸空港に30便のあわせて70の航空便を振り分けることが検討されているようである。

当面の対応に関して、私は関空の復旧に全力を注ぐと共に、国際線も含めて伊丹・神戸両空港に関空の機能を代用させることが必要だと考える。なぜならば、関空の完全復旧が見通せない中、一部の機能しか使えない関空のみに国際線を委ねることになれば、それだけ大阪のゲートウェイ機能が失われるのは目に見えているからである。


神戸空港の国際化を進めるべき

関西地域の三大空港である関空・伊丹空港・神戸空港は、現在は経営が一体化されているが、今回のことを受け、私はその中でも神戸空港の役割に注目している。同空港は24時間空港であり、関空との海上アクセスも良い。神戸空港への国際線就航が暫定的に求められるかは分からないが、私は今後神戸空港を関西地域の第二国際空港として整備し、関空との運営一体化も同時に進めていくべきだと考える。

もともと関西地域の本格的な国際空港の建設予定地は神戸沖近辺が有力だったが、建設が持ち上がった1970年代初頭は反対運動が強く、その結果泉州沖に関空が建設された。しかしその後、兵庫県および神戸市が地元の強い反対を強引に押し切り、地方空港として神戸空港を建設・開港したという経緯がある。それゆえ、関空・伊丹空港との利害調整もあり神戸空港は中途半端な存在にならざるを得ず、開港以来低迷を続けていたのである。しかしながら、東京、ニューヨーク・ロンドン・パリ・上海などの世界的な巨大都市には複数の国際空港が存在している。大阪をはじめとする京阪神地域の人口は約1900万人であり、人口規模としてこれらに引けを取るものではなく、国際空港が2つあったとしても何ら不思議はない。神戸空港が本格的な国際空港として機能するには、今後ワイドボディ双発ジェット機の主流になるであろうボーイング777XやエアバスA350-1000で欧米線を運行できるように、滑走路を現在の2500メートルから3500メートルくらいまでに拡張することが必要になるであろう。これについては、神戸空港は完全海上空港であるゆえ、用地取得が他の空港と比べて容易であるという利点がある。この点は拡張の余地がない伊丹空港との大きな違いである。神戸空港国際化の動きが高まることを期待する。


南海トラフが起きたら関空はどうなる?

最後に関空も含めた海上空港の今後について所見を述べたい。今回の被害を通じて海上空港としての関空の脆弱さが浮き彫りになった。高波による浸水の危険、連絡協が一本しかなくそれが破損する危険、さらに地震が発生した場合には液状化現象が起きる危険については誰しも想像できるであろう。さらに、メインのターミナルが一つしかないために、第1ターミナルが使えなくなった場合に空港機能が麻痺するという弱点も明らかになった。 しかしながら、最も恐ろしいのは関空全体が水没するケースであり、これは将来、南海トラフ地震が起きた場合には十分考えられるのはないか。

関空には、護岸のかさ上げ、排水処理の見直し、連絡橋の増設または海底トンネルの建設、新たな本格的ターミナルの建設など費用が掛かるプロジェクトを、優先順位をつけながら一つ一つ遂行していくことが求められる、関空で起きた問題は、羽田空港、中部国際空港、神戸空港など他の海上空港(または準海上空港)でも発生しうるものである。狭い日本で空港を運営することを考えれば空港建設地が海上になるのは致し方ない所があり、さらに一度作ってしまったものを放棄できる状況ではない。新たな空港建設は控えるとしても、関空をはじめとする既存の施設に関してはより構造を強化し、機能を拡充していくしかないと言える。
スポンサーサイト



プロフィール

鈴木しんじ

Author:鈴木しんじ
1972年生まれ。

東京都中野区出身。

東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒、慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学、東京工業大学大学院社会理工学研究科博士課程修了。

東京工業大学博士(理学)

千葉県議会議員、国会議員公設秘書を経験。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。武蔵野大学政治経済研究所客員研究員。専門は政治経済学、公共経済学。

最新コメント

カテゴリ

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR