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経済活動重視で経済が回らないワケ

ようやく日本各地で梅雨が明け猛暑全開となったが、新型コロナウイルスの感染拡大はとどまる様子がない。本日の東京都の新規感染者数は429人で二日連続して400人を超えた。各地の知事がいくら独自の緊急事態宣言を発しようが安倍首相はお構いなしで、野党からの臨時国会開催要求を拒絶し来週からは再び夏休みモードに戻りそうだ。体調不良と野党からの追及が嫌だという両方が理由っぽいが、いずれにしても緊急時に無責任極まりなく、リーダーに不適切な人物には一刻も早く退陣してほしい限りである。

安倍政権が何もしないのは「政権が経済活動重視だからだ」という主張をよく目にする。しかし、首相本人は何か目的があって事態を放置しているというよりも、経済活動と感染抑止の関係について具体的なプランなどなく、官邸官僚や一部の経済省庁が自粛や緊急事態宣言の再発令を嫌がっているからそれに従っているだけのように見える。感染を放置すれば支持率が下がるが、今のところ重症者数・死者数が低い値にとどまっているので、野党が弱いことを考えればしばらく何にもしなくても何とか乗り切れるとタカをくくっているのかもしれない。これまで安倍首相を支持していた「愛国者」たちはこのような人物を称賛してきたことを深く恥じるべきだ。

 
ここで「経済活動重視」とは何かということについて改めて考えてみたいが、要はアメリカのトランプ大統領が目指していたように新型コロナウイルスの感染拡大に目をつむり経済活動に規制をかけずに消費活動を喚起していくという方針のことなのだろう。

日本における8月上旬現在の状況については、感染は拡大し続けているものの4月と違い重症者・死者数は少ない水準で推移していることは確かである。しかしこうなっている理由については、定説がありそれが科学的に証明されているわけではない。少なくとも4つの季節を経過しなければ、感染が拡大しても大したことがないなどと安易に判断すべきでない。思慮に欠ける人たちは現状を見て性急な判断を下し、感染抑制策としての自粛を批判するのだろうが、多くの人たちは、急に状況が変化して4月のような状態に戻ることや最悪な場合、米ニューヨーク州やイタリアのような状態になることを恐れるものである。

人々は、AとBという選択肢があった場合、それぞれの行動をとると何%の確率で良い結果が起こるのか、残りの何%で悪い結果が起きるのかを考え、暗黙のうちに期待値を取って選択肢を選んでいる。旅行料金が安くなったからと言って、感染のリスクを全く恐れずに旅行を決断する人は少数派だろう。何が言いたいかというと、いくら価格面で消費を喚起しようとしても、人々は安全でない商品(サービス)にはなかなか手を出そうとしないということである。Eコマースの需要が高まっているのは、実際の店舗に出向くよりも移動コストによる効用の減少が少なく、コロナに感染するリスクも少ないからである。

私は、コロナを軽視するのは合理的ではなく、安心して使えるワクチンか特効薬を全国民が手にできるようになるまでは感染抑止に舵を切り感染者数を徹底的に抑えた方が、深刻な危機に陥っている旅行や外食産業の再生に寄与すると考える。

例えばこういう例を考えてみよう。連休中に行った場合、人々は95%の確率でコロナにかからないと考えているが、5%の確率でコロナに感染し、0.5%の確率で死亡すると考えているとしよう。逆に連休中に家にいた場合、99%の確率でコロナにかからないが、1%の確率でコロナにかかり、0.1%の確率で死亡すると考えているとしよう。さらに、旅行に行った場合の効用(楽しみ)が400で、家で過ごす場合の効用が200、コロナにかかっても死亡しない場合の不効用(つらさ)が-400、死亡した場合の不効用を便宜的にマイナス10万だと思っているとしよう。旅行してもコロナにかからないケースの効用が家にいてコロナにかからない場合のそれよりも2倍しか高くない設定になっているが、これは現在旅行に行っても現地の反応が暖かくなさそうとか店が早く閉まるという不効用が発生しそうなので、通常旅行するときの効用よりも割り引いたということである。すると、旅行した場合の期待効用は-138、家で過ごす場合の期待効用は94.4となり、人々は家で過ごすことを選択するようになる。

現在の状況では、旅行業者は、GoToを想定した価格より旅行代金を下げるのは限界があり、サービスの質を上げることも金銭的に厳しいはずだ。それゆえ、政府が、人々が旅行をしたいと思うように誘導するには、①コロナにかかる可能性とコロナにかかって死亡する可能性を低くするか、②コロナにかかって死亡しなかった場合の不効用の値を小さくするしかないだろう。死亡した場合の不効用の値を低くすることは無理だ。

①に関しては、両方の可能性を下げるのがベストだが、後者だけを下げる(つまりコロナにかかっても死亡しない可能性を上げる)ことも含まれる。②に関しては、特効薬を製造するかコロナにかかっても大したことがないと国民に信じ込ませることが取るべき方法となる。ワクチンの供給はコロナにかからない可能性を高めるので①に関係し、特効薬の製造はコロナにかかっても死亡しない可能性とコロナにかかった場合の不効用を減らすので、①と②に関係する。医療体制の充実はコロナにかかっても死亡しない可能性を上げるが、コロナにかかった時の不効用を大きくは減らせないだろう。

以上から、旅行や外食などへの消費を回復させるために政府が取れる行動のリストは、コロナの感染抑止策を徹底してコロナにかからない可能性を高める、ワクチンや特効薬を開発する、医療体制を充実させる、コロナが恐れるに足らない病気であると国民に理解してもらうように説明を繰り返すことである。

しかしながら、アメリカやイギリスで開発されているワクチンの接種は早くても来年初頭以降になり、特効薬の製造は見通しが立っていない。そもそも安倍政権はワクチンや特効薬の開発に十分な予算を費やしているとは言い難く、医療体制の充実にもあまり熱心とは思えず、感染封じ込めは放棄している。現状ではコロナが恐れるに足らない病気と言い切れる科学的な根拠がなく、国のリーダーがそのような発言をした結果アメリカやブラジルの二の舞になるリスクがあるので、安倍政権は経済重視をにおわせながらもそれを明言できない。緊急事態宣言が解除された6月は消費が回復したが、感染が拡大した7月以降は消費の低迷は免れないだろう。

消費を回復させるためには、GoToなどの意味がない需要喚起策に1兆7千億円(3500億だと思っていたがそれより上らしい) も費やすよりも、感染の封じ込め、ワクチンや特効薬の研究開発費、医療体制の拡充に予算を使うべきだ。飲食店などに対する休業・時短営業命令を実現させるには経済的補償の導入が必要だったとしても、それらを行うことで感染を早期に抑えられ可能性が高いのだから、臨時国会を開いて実現に必要な法改正を速やかに行うべきである。感染を放置することは消費の低迷を放置することと同じである。
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中露包囲網を作るべき時が来た

香港民主化運動のシンボルである周庭氏に対して、昨年6月に違法集会を扇動し公安条例に違反したとして有罪が言い渡された。届出がないデモなどの政治集会に関して、それを違法として取り扱うか否かは当局の匙加減一つで決まるようなものだ。要は、習近平中華人民共和国国家主席(兼中国共産党総書記)の意を受けた香港行政府が、例外なく徹底的に民主化運動を弾圧する決意を内外に見せたということである。

 

6月末に成立した悪名高い香港国家安全維持法は、香港住民だけでなく民主化運動にかかわった外国人に関しても、地球上のどこにいても法律を適用する(34条、38条)としているので、中国共産党や香港の現状に批判的な言動をしている外国人が香港や中国本土を訪れた場合、拡大解釈されて拘束される可能性が出てくる。香港の国会にあたる立法会の選挙も新型コロナウイルスの拡大を建前に一年間延期されてしまった。習近平氏に支配された中華人民共和国政府(以後中共と呼ぶ)は国際的非難など無視して「香港の完全制圧」にまっしぐらである。また、日本の尖閣諸島周辺への公船の侵入を含め周辺諸国に領有権圧力を強めるなど、中共は他国から反感を買う恫喝行為を続けている。

 

我々から見れば、せっかく米国に次ぐ大国となりさらにアメリカがトランプ政権に代わってから国際的な評価を落としているのに、中共が何故他国から嫌がられる行為を続けるのか理解に苦しむ所である。しかしながら、独裁者となった習近平氏からすれば、自国民が他国から遮断されて言論の自由も抑圧している以上他国からの反発などはどうだってよく、自身の独裁体制を強化することが第一なのだろう。逆に言えば、中国をアメリカに代わる超大国に押し上げ中共の価値観を広めて新しい世界秩序をつくるなどということは、習近平氏にとっての本当の目標ではないかもしれない。

 

「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想(習近平思想)」なるものや一帯一路構想が、パックスアメリカーナを凌駕する普遍的価値を持つレベルのものではなく、少なくとも外国人には魅力的ではないことは当の本人とて分かるはずだろう。対外膨張政策の真の目的は、国内支配体制を固めるために中国の国際的影響力がこれだけ拡大していると国内に誇示することなのかもしれない。もしそうでなくて、習近平思想を世界に広めようとして行動しているのならばどうしようもなく愚かだが、仮に習近平氏が歴代の中国共産党指導者と異なり個人的に帝国主義的野心が非常に強くて、単に世界一の大国の皇帝になって君臨したいという幼稚かつ前近代的な野望を持っているのだとしたら余計に厄介である。

 

いずれにせよ、習近平氏に支配された中共が日本を含む西側諸国にとって政治的にも経済的にもまともなパートナーにはなりえないことがはっきりしたのは事実であり、さらに放っておくとあの手この手を使ってこちらを支配しようとするので、中共は封じ込めるしかない。中国よりはるかに経済力が劣るロシア連邦の独裁者であるプーチン大統領も同じような思考の持ち主であり、こちらも同様に封じ込めるべき相手であることは変わりがない。

 

新冷戦という言葉が生まれてから10年以上経つが、中共・ロシアとG7など民主主義国家との人権・民主主義・表現の自由・公正な経済活動に関するスタンスの違いは、香港の弾圧とロシアでの憲法改正案をめぐる国民投票を経て決定的になったと言える。旧冷戦では旧ソ連や中共は、彼らが科学的社会主義だと考えた共産主義を普遍的な価値として世界に広めようとして西側と対立したわけであるが、新冷戦では中露はそれぞれの独裁者の個人的な野心や国内での体制強化のために対立が生み出されている。昔に比べて相手側の質が下がって国際的な共感が得にくい存在に変化したことは特徴の一つと言えよう。

 

私は、日本を含む西側諸国は中露と国交断絶すべきだとは思わないが、冷戦期同様に包囲網を敷いて徹底的に監視すべきだと考える。人権・民主主義・表現の自由・公正な経済活動が行われていないという理由で、企業に対しては投資を控えるよう誘導すべきだ。残念ながら、日本国内では与野党問わず中共やロシアに融和的な態度をとる勢力が存在する。与党に関しては誰がそうなのかは言わずもがなであるが、野党に関しては旧民主党のリベラル系にそういう人が一定数いる。親中派と言われる人たちは、もともとは侵略戦争への贖罪意識から日中友好に積極的に関わったのであろうが、取り込まれて赤い帝国の蛮行に見て見ぬふりをするというのは、人権や民主主義を普遍的価値とするリベラルの行動規範に矛盾している。中露に融和的な議員は時代がそれを許さないと認識して早く足を洗うべきだし、国としての意思決定が彼らに左右されてはならない。

国会を開かないなら自公の議員は歳費を返上せよ

共同通信によると自民党の森山国対委員長は4日、立憲民主党の安住国対委員長と国会内で会談し、野党が求める臨時国会の早期召集は難しいとの考えを伝え、事実上の拒否回答を示した。閉会中審査には応じたようだが安倍首相の出席は拒否した。さらに朝日新聞などの報道によると、自公両党の政権幹部による協議で、英国のEU離脱を受けた日英通商協定が大筋合意した場合は協定案の承認手続きのために臨時国会を開く用意があり、10月以降に召集する方向で調整に入ったとのことである。

ということは、安倍自公連立政権にとっては貿易相手国のトップ10にも入っていないイギリスとの通商協定の方が新型コロナウイルス対策より重要ということらしい。全国で新型コロナウイルスの新規感染者が急増しており医療機関に大きな負担がかかっており、安倍政権の無策に業を煮やした都道府県知事が独自の「緊急事態宣言」を行っているにも関わらず、自公政権は長い長い夏休みをとる気らしい。

あまりにもふざけた話である。コロナ特措法と感染症法を早急に改正する必要があることは多くの人が指摘している(詳細については国民民主党の玉木代表舛添要一前都知事の指摘を参照)。特措法については罰則付き「命令」と休業による損失補償を新設すべきであることは私自身これまで何回も訴えてきたし、感染症法については、現在は新型コロナウイルス感染症が同法に規定された二類感染症相当の指定感染症とされていることがPCR検査の拡充を阻害していることから、これを変更すべきだという意見が強まってきている。さらに7月の豪雨は各地に甚大な被害をもたらしたが、秋にかけても同様かそれ以上の被害を及ぼす豪雨が再び起きる可能性は十分ある。豪雨・台風対策は待ったなしである。これらを国会で議論しない正当な理由があるだろうか?

日本の国会法では、召集義務があるのは法定会期が150日間と定められている通常国会だけであるが、さすがにそれでは時間が空きすぎるので、通常は9または10月から12月にかけて臨時国会が召集されたり閉会中審査が設けられたりする。他のG7諸国や韓国・台湾の例を調べてみたが、当たり前の話だが国会が一年の中で半年近く開かれない例は見つけられなかった。国際的平均から見て一年の3/4以上は国会が開かれているべきなのは言うまでもない。

国会議員は国会で議論し法律を制定するために存在しているのであって、彼らの給与たる歳費は自身の国会における活動の見返りとして与えられるものである。一年の半分近く国会が開かれず、その間の各議員の活動が自身の再選に向けた政治活動のために捧げられていたとするならば、歳費の半分近くは返上されるべきだ。自民党の党内からは臨時国会を開くべきだという声が上がっているようだが、自民党と公明党の議員は国会議員としての良心を見せ執行部の方針に反旗を翻すべきである。執行部の方針に従うというのならば、相当の分の歳費を返上してほしい。


追記: 安倍首相が体調不良に陥っているとの報道があり菅官房長官はそれを否定しているが、首相にとって意中の後継候補である岸田自民党政調会長は首相や麻生副首相兼財相と会談を重ねているようだ。体力的なのか気力なのか両方なのかは知る由がないが、首相は自分には厳しいと思ったら潔く退陣を表明すべきだ。かつてイギリスの首相を2回(4年のブランクありの合計8年間)務めたハロルド・ウィルソン氏は、1976年3月に首相を突然辞任し世間を驚かせたが、理由はアルツハイマー病にかかっていたことだったそうだ。安倍首相が曲がりなりにも民主主義国家のリーダーとしての自覚があるのならば、これ以上国家に混乱をもたらす行動をとるべきでない。どうしても今辞任するのが嫌ならば、副首相に職務を代行させるべきだ。人選としては首相と同じくらい最悪なのだが憲法上そういう規定になっている以上残念ながら仕方がない。でも、何もしないよりはましだろう。

マスコミはもっと安倍首相を追及すべきだ

本日、東京都における新型コロナウイルスの新規感染者数は463名に達した。また、人口が東京都の十分の一しかない沖縄県でも70人前後の新規感染が見つかったそうだ。日本各地で急速に感染が拡大しており、岐阜県は「非常事態宣言」を行うとのことで、東京都や大阪府などこうした動きは各都道府県で広がっていくだろう。

何度も同じような内容の投稿を繰り返しており読者の皆様には申し訳ないと思うが、安倍首相の無責任さに怒りが収まらない。首相は一か月以上記者会見を開かず、政府対応は西村新型コロナ対策担当大臣、加藤厚労相などに押し付け、政府関係者・地方自治体が対応に追われる中、自分は夏休みを取っていた。非難が耳に入ったのか昨日になってようやく丸一日働きだしたと思ったら、その日の夜には岸田文雄自民党政調会長とホテルの日本料理店で会食したとのことで開いた口が塞がらない。都道府県知事が飲食店に休業要請を出さざるを得なくなっている最中に、くだらない政局話をするために会食に行くというバカさ加減には反吐が出る。もしかしたら政権禅譲の話をしたのかもしれないが、それは官邸でもオンラインでも電話でもできることだ。

感染爆発(と言っていいだろう)の本質は、首相が新型コロナウイルス対策を放棄していることである。考えてほしい。首相が優秀で機敏に動く人物だったら、中国や欧米からの入国規制を早くしていただろうし、もっと早く緊急事態宣言を発令していたはずである。また、東京圏と北海道の緊急事態宣言解除は少なくとも一週間は遅くすべきで、感染再拡大の兆候が見られたら夜も街関連店舗への休業要請を迅速に行うのと同時に特措法改正の審議を始めるべきだった。そうすれば感染再拡大は防げたかもしれない。韓国ではソウルの5月にクラブでクラスター感染が起きた後に、クラブなどの飲食店に迅速に休業要請や休業命令を出した結果、何とか感染再拡大が抑えられていることを見ればそうだった可能性はかなりあると言ってよいだろう。

今となっては各地で感染が爆発してしまっているが、それならば全国を対象に緊急事態宣言を行い、必要な業種に対して休業要請を行うのと同時に企業にテレワークの徹底を求めるべきである。休業補償に対してはもちろん行うべきだがいつまでもというわけにはいかないので、飲食業・旅行業・エンターテイメント業などに関わる企業・関係者が一時的に他の分野で雇用してもらえるように法整備も含めて力を入れて対策をとるべきだ。なお、飲食店に対しては、新法を作るか食品衛生法や風営法を使ってでも感染対策が不十分な店舗の営業を認めないとすべきである。要請レベルの対策では飲食店における感染が防げるとは思えない。また、時限的に公共空間でのマスク着用義務化と喫煙禁止も行うべきである。飲食店の営業規制やマスク着用義務についてはフランスなど日本より被害が酷かったいくつかの西欧諸国で取られている。

これだけやれば今からでも感染者数を減らしていけるだろうしある程度経済も回していけると思うが、何故そのような努力をしないのか理解に苦しむ。各国でワクチン開発が相当進んでおり遅くても来年末までには国内に行き渡ることが十分予想できることから、上記の休業補償と一時的転職支援プランは財源面を考慮しても合理的な話なはずだ。GoToキャンペーンに1兆3500億円を費やしても旅行業界には焼け石に水で電通やパソナなどしか恩恵は受けないだろうから、それよりはよっぽど意味がある金の使い方ではないか。首相にやる気があれば休業補償の実施に関して財務省を始めとした霞が関を説得できないとは思えないが、安倍首相にはやる気も能力もないのだろう。

これだけ無責任で無能な人物がなぜ日本の歴史上最も長く首相を務められたのかは全くもって疑問であるが、おそらくは野党が弱すぎるのと(政治的な立場は別として)菅官房長官が優秀だったからなのだろう。首相はその菅氏とはもはや口も利かないような関係になっているらしく、その代わり官邸のラスプーチンこと今井尚哉首相補佐官や利権まみれの二階俊博幹事長の影響力が増しているようなので、政権運営が立ち行かなくなるのも当然である。

菅氏もこの際、政権に見切りをつけ早く辞任してはいかがだろうか。政権の意思決定の中心から外されているせいで、新型コロナウイルス対応に対しては他人事というか投げやりな答弁が目立つが、それを繰り返していては自分の評判が悪くなるだけだ。かつて小泉政権で官房長官を務めた福田康夫元首相は、自らの年金未納が発覚したことであっさり官房長官を辞任し世間を驚かせた。しかしこのことは逆に彼の評価を高め、結果的に、短い期間ではあったが彼は総理大臣に上り詰めたのである。菅氏も福田元首相を参考にすべきだ。

いずれにせよ、安倍晋三という人物が首相の座に居座り続ける限り事態が好転するとは考えにくく、放置しておけば大惨事になるだろう。野党はようやく臨時国会の召集要望を出したが、気を緩めずに安倍首相への追及をさらに強めるべきである。特措法の改正も要望すべきだ。ところで気になるのが、マスコミが安倍首相の愚行をあまり追求しないことである。政権に忖度しているからなのか分からないが、だとしたら恥ずかしい限りだ。マスコミが安倍首相の愚行をもっと報道し機運を盛り上げてほしいと切に思う。自民党内から公然と批判が上がるようになれば政権は長く持たないだろう。

民主党や日本社会党の復活ではなく、立憲主義的な改憲を目指す社会民主主義・進歩主義政党が必要だ

立憲民主党と国民民主党の合併協議が再開され、両幹事長が綱領の早期作成で合意したとのことである。しかしながら、党名や綱領の中身をめぐって両党はもめることだろうし、そこに社民党が加われば協議の進展はさらに遅くなるだろう。立憲民主党と社会民主党が1960年分裂以降の日本社会党の後継的存在であり、国民民主党が1960年に日本社会党から分裂した民主社会党(民社党)の後継的存在になるので、流れを見ると単なる民主党復活というより日本社会党復活ということになる。

しかしながら私はこれに全く期待していない。立憲民主党結党時は期待したのだが残念だ。立憲民主党の枝野代表は、閉鎖的な党運営を続け、野党第一党党首としてはっきりとした政権構想を示すこともなく、人気がなくなったら旧態依然とした永田町の合従連衡に奔走していると評価されているが、それは仕方がないことだろう。立憲民主党と旧希望の党は政策が違うから別の党になったのであるが、吸収合併でなく対等合併で立憲・国民両党が合併するとなると、新党の基本政策は原発・安全保障・憲法・統治機構改革など重要な部分で玉虫色にならざるを得ない。合併しても基本政策をめぐってすぐに党内対立が起きるだろう。旧日本社会党がかつて二本社会党と揶揄されていたように、日本社会党、社会民主党、民主党、民進党と名前が変わっても繰り返されてきた歴史がまた繰り返されるわけである。

日本でこれまでどうして左派・リベラル派が弱かったのかと言えば、突き詰めれば憲法9条の問題に行くつくと私は考える。国民は安全保障について左派・リベラル派を信頼していないと思う。自衛隊は日本の安全保障に不可欠な存在になっており、さらに世界でもトップ5に入るくらいの戦闘力を有しているにもかかわらず、そのような防衛組織の存在を憲法上に明記しないのは明らかにおかしい。私は9条を含め憲法を改正すべきと考えているが、安倍首相が安保法制制定というとんでもない解釈改憲を行ってしまったために、左派の改憲に対するアレルギーがさらに高まったと考えている。立憲民主党の枝野代表は、元々は改憲派だったはずだが、同党設立の経緯、支持団体、所属議員の政治的傾向から判断して、山尾志桜里氏のような改憲論者の意見を封じ込めたため、同党では憲法について議論することは事実上不可能になっている。 今となって見れば、設立時に旧社会党・社民党出身議員や旧総評系労組に気を使って憲法・安全保障に対するスタンスをあいまいにしたのが、同党への支持層を狭める結果になったと言えよう。

こうした現状を考え、私はいま求められているのは立憲主義的な改憲を目指す中道左派政党だと考える。新党は社会民主主義・進歩主義を掲げるリベラル政党であることを明示する一方で、立憲主義を取り戻した後に安全保障体制の明確化・統治機構改革・そして同性婚合法化を目指して改憲を行うと標榜すべきだ。一方で、今行わなければならないのは新型コロナウィルスの感染を抑えることが第一で、優先順位をつければ、経済再生、脱原発の実現、安保法制の廃止(または違憲部分の削除)による立憲主義の復活だ。

脱原発と安保法制の廃止(または違憲部分の削除)の実現については、日本共産党との連携は不可欠で、同党の政策がかつてよりかなり現実化していることを考えると、同党を連立のパートナーとして連立政権構想が組まれるべきである。つまり、政党の政策としては改憲を掲げるが、まずは、共産党を連立パートナーとする次の政権では上記の4つの政策の実現を優先する。次の次の総選挙では、憲法の部分で共産党と合意できれば再び連立形成を要請し、合意できなければそれぞれが独自に戦うとすべきだ。共産党は言うまでもなく護憲を掲げているが、連立政権でやることとやらないことを明示し、政策決定プロセスを透明化して常に同党に対して敬意を払えば理解してくれるだろう。

旧民主党かさらに進んで旧日本社会党が復活しても、政党のアイデンティティ・基本政策・連立政権構想はあいまいな状態が続くだろうから、永田町に関わらないところから全く新しい中道左派政党を作らなければならない。左派・リベラル派には憲法改正に対してアレルギーが強いことは十分承知しているが、どんな優れた憲法でも時間がたてば現実に合わなくなってくる。より民主主義的・進歩的にバージョンアップされた「日本国憲法 Version 2」を、自民党安倍政権を倒した後に立憲主義的なプロセスを遵守しながら作るべきではないか。国民のニーズはそこにあると思う。

プロフィール

鈴木しんじ

Author:鈴木しんじ
1972年生まれ。

東京都中野区出身。

東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒、慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学、東京工業大学大学院社会理工学研究科博士課程修了。

東京工業大学博士(理学)

千葉県議会議員、国会議員公設秘書を経験。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。武蔵野大学政治経済研究所客員研究員。専門は政治経済学、公共経済学。

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